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ゼファーガーデン(the zephyr garden)

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愛猫は失う

友人の家に遊びに行った先日のことだった。
彼の家は大学のサブキャンパスから7マイルほどのところにある山の中にだった。
むしろその山が彼の家の所有らしいのだが。

りんご、レモン、なんとかベリーに数種類の野菜。
そこかしこに設けられた鳥の檻、総数はゆうに100を超えるという。
3匹のボクサー犬にペットの豚。
庭には巨大トランポリンに彼の寝室キャンピングカー、そして巨木の上には鬼太郎ハウス。
そしてこの日僕はライフルを撃つ。

想像したこともないスケールの中、最も僕の注意を引き付けたのは一匹のなんでもない猫だった。
「前は10匹以上いたけどそれぞれにどこか行ってしまって今は3匹くらいしかいない」うちの1匹であり、僕がその日見た唯一の猫だった。
彼(もしくは彼女)はまだ未成熟な若者で、白い体に灰色の斑点を帯びていた。
僕は猫が好きだ。

帰り際、車に戻ろうとしたところで彼(もしくは彼女)の死骸を見た。
ものの3時間前までは僕の手をうっとおしそうに睨んでいた目に、無数の蟻がたかっていた。
なぜ彼(もしくは彼女)は死ななくてはならなかったのか、考えながら帰った。

僕の実家には猫がいる。
ちょうど4年ほど前に僕が拾ってきた猫だ。
彼はまだ死んではならない、と僕は信じている。
彼は僕の目の前で死ななければならないからだ。
老衰か病気か、家から脱走した拍子に車にはねられるか、はたまた犬にかまれて真っ赤になって帰ってくるか。
いずれにせよ彼は僕の目の前で死ぬ必要がある。
彼が死ぬとき、彼は、彼を愛した僕に深い爪痕を残すべきなのだ。
大きな猫に虐められそうになっていた彼を救った僕に、最高の仇を返して逝くべきなのだ。

友人の猫は、僕の訪れを待っていたのだろう。
便宜上の記号さえ与えない飼い主たちよりも、しつこく撫でてくる初対面の男の記憶に爪痕を残したかったのだろう。
と、僕は信じている。
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by zephyr_garden | 2006-10-08 20:08 | 雑記
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