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ゼファーガーデン(the zephyr garden)

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吉良吉影は静かに暮らしたい~吉良吉影:ジョジョの奇妙な冒険~

部下を持たず、徒党も組まず、争いを好まず、ただ平穏でただ平凡な生活を心から望む。
吉良吉影(キラヨシカゲ)は通常のイメージから大きく逸脱したラスボスだ。
高い能力を持ちながら目立つことを嫌い、学校でも会社でも「全力を出す」ことはない。
彼の人生観は以下の台詞に集約されている。

吉良吉影は静かに暮らしたい~吉良吉影:ジョジョの奇妙な冒険~_d0059577_11151676.jpg激しい「喜び」はいらない・・・

そのかわり深い「絶望」もない・・・

「植物の心」のような人生を・・・

そんな「平穏な生活」こそわたしの目標



しかし吉良には唯一「平穏」でいられない部分、性癖があった。
彼は15年以上にも渡り自分の爪を記録・保管し、爪の伸びによって「絶好調」な時期を判断していた。
その「絶好調」なときには美しい手を持った若い女性を殺さずにはいられない、という衝動に駆られる。
そして好みの女性を見つけ、殺害し、手を切りとって持ち帰るというハナレワザをやってのける。


吉良吉影は静かに暮らしたい~吉良吉影:ジョジョの奇妙な冒険~_d0059577_11234898.jpg犯行に使う凶器は"バールのようなもの"ではなく、ジョジョの世界における「スタンド」という超能力(普通の人には見えないもう一人の自分が出てきて自分の意思のままに動いてくれる、とでも解釈してもらいたい)。
その名を「キラー・クイーン」。
触れた物を爆弾に変える能力を持つ。
こいつを使って犯行の証拠、自分の平穏な生活を乱しうる者などは全て排除、そして今夜もぐっすり眠るのだ。


吉良吉影は静かに暮らしたい~吉良吉影:ジョジョの奇妙な冒険~_d0059577_12303782.jpgさてこの吉良吉影、とにかく変態なのである。
女性を殺さずにはいられない変態。
殺した女性の「手」を切りとり持ち帰る変態。
手に入れた手を常に持ち歩く変態。
その手とひそひそ声で会話を楽しむ変態。
町並みを眺めながらその手と一緒にサンドウィッチを食べる変態。
大便の後にその手にお尻を拭いてもらうことに幸せを感じる変態。
初めてモナリザの組んでいる手を見たときに勃起した変態。
変態ここに極まれりッ!!


と、吉良の異常ぶりを網羅してみたが、性癖云々も彼の悪役を妖しく光らせる一要素に過ぎない。
吉良の特徴に、登場時の台詞回しがある。
初めて康一くんの前に現れたとき、逃走のため顔や指紋を変えた後の最初の犯行の際に、主人公・仗助との最終決戦に顔を合わせたときに、それぞれ一方的な自己紹介のような、勝手な演説じみた説教を口にする。

康一くんを始末するため、能力によって「重くされた」左手を引きずりながら現れたときは、

今度 ぶどうヶ丘高の方に「スポーツジム」がオープンするそうだが・・・・・・・

真剣に「会員」になることを考えたよ・・・
体力をつけなくっちゃあな・・・・・・

でもあーゆートコの「会員」てのはどーなんだろうな?
一週間もフロに入ってないヤツが
チンポいじった手で同じダンベル持ち上げたり
プールに入ったりするのかな?

時間はここまで3分で着いたな・・・・・・

でも横断歩道を渡る時が一番体力のなさを実感したよ・・・
横断途中で休んじまったら
信号が「赤」に変わって車にブースカいわれるからな

ところで・・・・・・
これからここに誰が来るんだね?
(ここでようやく康一くんに対して自分が「吉良」だということを明かし始める)



一方で顔を変えた後最初の犯行では、マンションの一室に入るカップルの後をつけ、一瞬でカレを消し、そこで話し始める。

ワンルームマンションか

わたしは吉良吉影 君の名前を聞かせてくれないか?


女性「・・・・・・
あ・・・・
ハア あう」(震えている)

(構わず続ける吉良)
「爪」のびているだろう・・・・・・
こんなにのびてる
自分の「爪」が のびるのを止められる人間がいるだろうか?

いない・・・

誰も「爪」がのびるのを止める事ができないように・・・
持って生まれた「性」というものは
誰も おさえる事が できない・・・・・・・・・
どうしようもない・・・・・・
困ったものだ

君の「名前」は?
と聞いたんだがね・・・・・・
わたしは名乗ってみせたんだ・・・・・・
聞かせてくれてもいいんじゃあないか?


「ハウ ハウ
か・・・彼   あたしの彼を・・・いったい?」
この後、彼女に自分の「爪」切らせ、「手」を残し爆破(証拠は一切残さない)。
久々に手に入れた「手」にほおずりしてご満悦。



吉良吉影は静かに暮らしたい~吉良吉影:ジョジョの奇妙な冒険~_d0059577_13115728.jpgそして最終戦。
ついに仗助たちに正体がバレ、闘わざるを得ない状況になったとき、


・・・・・・・・・・・・言っておくが
わたしは・・・・・・

「川尻浩作」となって 別におまえたちから
逃げていたわけではない
おまえらを始末しようと思えば いつでも
殺すことはできた・・・・・・・・・・・・

やらなかったのは 単にわたしが
「闘い」の嫌いな性格だったからだ・・・・・・
「闘争」は ワタシが目指す 「平穏な人生」とは
相反しているから嫌いだ・・・
ひとつの「闘い」に勝利することは簡単だ・・・
だが次の「闘い」のためにストレスがたまる・・・
愚かな行為だ
他人と争うのはきりがなくムダな行為だ


仗助「おめーが「重ちー」を殺したから
追ってんだろーが このボケッ!」(そして最終局面へ)


と、敵と対峙しても余裕を崩さず話し始める。
それは、正体を明かしはしたがそれを聞いたお前はカクジツに始末する、という意志の表れであり、己に絶対の自信を持っていることがうかがえる。
こうした不気味さ・不敵さは、吉良を堂々のラスボスへと形作っている。

最終的に「少なくとも安心などないところ」へ引きずりこまれた吉良だが、作者の荒木先生は「一番好きなキャラでもあり一番手を焼いたキャラ」と後にコメントしている。
特に最終戦を描いているときは吉良のあまりの強さに「もしかして仗助負けちゃうのかな」とまで思っていたとか。

また吉良にまつわるエピソードで、前述した女性被害者が、彼をどこへやったのかという質問をした時に
吉良吉影は静かに暮らしたい~吉良吉影:ジョジョの奇妙な冒険~_d0059577_1332633.jpg
と激昂する場面がある。
これによりジョジョ読者には「質問を質問で返してはイケナイ」という掟が植えつけられた。
僕の好きなシーンでもある。
(ちなみに質問を質問で返す場面で他にも有名な第一部の「お前は今まで食べたパンの枚数を覚えているのか?」があるが、「質問返し」を喰らったツェペリさんはその屈辱をグッとかみ締めている)

以上でラスボスだけど変態、変態だけどラスボスの吉良吉影紹介を終わります。
実は半分近くこの記事を書いたあと目をはなしたら、コンピューターが勝手に再起動されるという悲劇が舞い降りて書き直しするハメになりました。
しかも秋のセメスターがついに始まってしまった。
ああ・・・もう・・・絶望だ。
今こそ欲する、「植物の心のような平穏な生活」を。
by zephyr_garden | 2007-08-26 13:40 | 雑記
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